初心者がやりがちな投資の失敗5選 ― 投資デビューした人が陥りがちなミスとは?失敗例から学ぶ、資産運用の教訓 ―

目次

はじめに:投資は「始めること」より「続けること」が難しい

「よし、今年こそ投資を始めよう!」
そう思って口座を開き、最初の数万円を入金したときのワクワク感。
しかし、数週間後には「マイナスが続いて怖くなった」「全然儲からない」と気持ちが冷めてしまう人が少なくありません。

実際、金融庁の調査でも「投資を始めて1年以内に撤退する人」は全体の約3割。多くの初心者が、知識不足と感情の揺れによって、せっかくのチャンスを逃しています。

この記事では、初心者が陥りやすい代表的な失敗を5つ取り上げ、それぞれの「失敗例」「教訓」「予防策」をセットで解説します。
これを読めば、投資の落とし穴を先回りして避けられるはずです。


失敗1:話題の銘柄に飛びつく「情報過多トラップ」

●失敗例

「SNSでバズっていた“AI関連株”を買ったら、翌週に暴落して20%の損失を出した。」
—— こうした体験談は、投資コミュニティでよく見られます。

2024年のAIブームでは、「この株が次のテンバガー(10倍株)だ!」という情報がX(旧Twitter)やYouTubeで飛び交いました。
しかし実際には、注目が集まった直後にプロ投資家が売り抜け、初心者が高値をつかんでしまうパターンがほとんどです。

●教訓

投資は「先回り」ではなく「仕組みを理解して長く続ける」もの。
情報の鮮度よりも、「なぜその企業が成長できるのか」を冷静に判断する力が大切です。
SNSの“話題株”は、あなたにチャンスをくれるのではなく、むしろ出口の合図であることも多いのです。

●予防策

  • 銘柄を買う前に、財務諸表・業績・事業内容を最低1時間は調べる。
  • 「今話題の株」より「安定して稼いでいる企業」を選ぶ。
  • 信頼できるサイト(例:東洋経済オンライン、モーニングスター)で情報を精査する。
  • FOMO(Fear Of Missing Out=乗り遅れる恐怖)を感じたら、一度深呼吸して1日待つ。

失敗2:ポートフォリオを分散せず、1銘柄に集中投資

●失敗例

「好きなゲーム会社に全額投資したら、業績不振で株価が半分に…」
初心者の多くは、「自分の好きな業界=安心」と思い込み、特定セクターへの偏りを起こしがちです。

2023年には、半導体関連株がブームになりました。
ある個人投資家は、全資金を半導体メーカーに投入。しかし需給悪化で急落し、他銘柄を買う余力も失いました。
結果、「売るに売れず、塩漬け状態」で1年以上資金が動かせなかったそうです。

●教訓

古くから言われる格言に、「卵を一つのカゴに盛るな」があります。
どれだけ成長性が高い企業でも、市場の変化予期せぬ事故で一気に崩れることがあります。
分散投資は、「勝つため」ではなく「負けにくくするため」の戦略です。

●予防策

  • 最低でも5~10銘柄、複数セクターに分散する。
  • 株式だけでなく、債券・金・外貨なども組み合わせてリスクを分散。
  • 初心者は「インデックスファンド」や「ETF」から始めるのが安心。
  • 資産割合の目安:「株70%、債券30%」など、バランスを保つ。
  • 無料ツール(Money Forward、マネックスONEなど)で資産配分を定期確認。

失敗3:感情に支配されて「パニック売り」や「高値買い」

●失敗例

株価が下がると不安になってすぐ売る。
上がり始めると「今買わなきゃ!」と焦って飛びつく。
結果、安値で売り、高値で買う——典型的な感情トレードです。

実際、アメリカのDALBAR社の研究では、感情的に売買を繰り返す個人投資家の平均リターンは、市場平均を年6.5%下回ると報告されています。

SNSでの「暴落きた!」「もう終わりだ!」という投稿に影響される人も多く、特に初心者は群集心理に引っ張られやすいのです。

●教訓

市場は“生き物”のように上下を繰り返します。
一時的な下落は「安く買えるチャンス」でもあり、恐怖に負けると本来得られるリターンを逃します。

●予防策

  • 事前にルールを決める:「損失10%で損切り」「利益20%で一部売却」など。
  • ドルコスト平均法: 毎月同じ金額を積み立てることで、感情を排除。
  • 投資日記をつける: 売買理由を可視化し、自分の感情パターンを分析する。
  • 一時的な下落時は、相場ニュースを見すぎない(情報断食も有効)。

失敗4:手数料・税金を軽視して“見えない損”を積み重ねる

●失敗例

「デイトレードで毎日数回取引していたら、気づけば手数料と税金で利益が消えていた。」

初心者ほど、「取引が多いほど儲かる」と勘違いします。
しかし、1回ごとの手数料(数十円〜数百円)も、月100回続けば大きな金額になります。
さらに、短期売買の利益には20%の譲渡所得税が課税されるため、トータルでは赤字になることも。

●教訓

手数料は「静かな敵」。
特にスマホ証券などでは、手軽に取引できる分、無意識のうちに「回転売買」に陥りやすい。
長期投資は退屈に見えるかもしれませんが、複利の力で最終的に大きな差を生みます。

●予防策

  • 低コスト証券会社を選ぶ: SBI証券、楽天証券、LINE証券など。
  • 取引回数を月1回以下に抑える。
  • 新NISAを活用して、非課税で運用する。
  • 長期保有を基本とし、売買のタイミングを減らすことで複利効果を最大化。
  • 信託報酬(運用コスト)も比較し、1%未満を目安にする。

失敗5:短期リターンを追いすぎて「長期の果実」を逃す

●失敗例

「1ヶ月で資産を倍にしたい!」と、レバレッジETFや仮想通貨に手を出す。
最初はうまくいっても、急落に巻き込まれて一晩で資金を失う——そんな例は後を絶ちません。

あるアンケートでは、投資初心者の約8割が「短期間で成果を出したい」と回答。
しかし現実には、長期投資を続けた人ほどリターンが安定しています。
過去50年のデータでは、米国株式市場の平均年利回りは約7%
これを複利で20年間運用すれば、資産は約4倍に増えます。

●教訓

投資は「マラソン」です。
短距離走のように一気に儲けようとすると、必ずどこかで転びます。
焦らず、時間を味方につけることで「市場の平均リターン」を確実に拾うのが最強の戦略です。

●予防策

  • 「10年後にいくら増やしたいか」を明確にする。
  • 長期インデックス投資をメインに据え、「積立×放置」を徹底。
  • 進捗を年1回だけ見直し、短期の値動きに反応しない。
  • 「儲かる話」に心を奪われたら、1日寝かせて冷静になる習慣を。

まとめ:失敗は「終わり」ではなく「投資家のスタート地点」

投資の世界で成功している人は、例外なく失敗を経験しています。
重要なのは、負けないように立ち回ることではなく、負けから何を学ぶか。

初心者がやりがちな5つのミスを避けるだけで、資産運用の道は格段に安定します。

  • 話題に流されず、冷静に分析する
  • 分散と長期を意識する
  • 感情を制御し、手数料や税金も考慮する

まずは**「少額×長期×習慣」**の3本柱を意識して始めましょう。
月1万円の積立でも、10年後には確実に成果が見えてきます。
焦らず、自分のペースで成長していくことが、最大のリターンにつながります。


参考:

  • 東洋経済オンライン
  • Investopedia
  • 金融庁データベース
  • DALBAR Investor Behavior Report 2023
最終更新日: 2025-10-22
平川 静修
平川 静修|ライター
地図 高齢ドライバー支援 生活インフラ記事全般

住所・地図の実務、PDF/印刷、家計の効率化、広告計測(GA4/GTM/AdSense/Google広告)を“現場で動かし、再現手順に落とす”ことを得意とする編集者。SaaSと自動化を軸に、暮らし×テクノロジーの課題を手順化・テンプレ化して発信しています。

目次