新NISAが始まって2年半ほど経ちましたが、口座数はいまだに伸び続けています。楽天証券はNISA口座数が700万を超え、預かり資産残高も10兆円を突破。SBI証券もNISA口座数で業界最多を維持しています。それだけ多くの人が始めている一方で、「なんとなく積立設定だけして、制度の中身はよくわかっていない」という人も相当数いるはずです。
というわけで、初心者がつまずきやすいポイントを4つに絞って整理しました。
どこで口座を開くのが今のトレンドか
現状、二強と言えるのは楽天証券とSBI証券です。楽天証券は楽天ポイントとの連携の強さ、SBI証券はVポイントをはじめとした複数の経済圏に対応できる柔軟さが支持されています。ここに、三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)が、クレカ積立のポイント還元率の高さと取扱ファンド数の拡充で存在感を強めてきている、というのが今の勢力図です。
正直なところ、手数料や取扱商品の差は主要ネット証券の間ではほとんどなくなっています。選ぶ基準としてむしろ大きいのは、「クレジットカード積立で、自分が普段使っているポイント経済圏のポイントが貯まるかどうか」です。楽天経済圏の人は楽天証券、Vポイントをよく使う人はSBI証券、三井住友カードをメインにしている人もSBI証券、といった具合に、証券会社選びはほぼカード選びと一体になっています。
ただしクレカ積立のポイント還元率は、カードの種類や年会費、対象条件によってかなり幅があり、各社ともここ数年で条件を何度か見直しています。「◯%還元」という数字だけを見て決めず、自分が持っている(持てる)カードでの実際の還元率を、申し込み前に必ず確認してください。
年間いくらまで買えるのか——限度額の考え方
新NISAの非課税枠は2階建てになっています。
- つみたて投資枠:年間120万円まで
- 成長投資枠:年間240万円まで
- 合計:年間最大360万円まで(両方を同時に使える)
これとは別に、生涯を通じて非課税で保有できる上限額(生涯投資枠)が1,800万円と決まっており、このうち成長投資枠だけで使えるのは1,200万円までです。年間360万円をフルに使ったとしても、生涯枠を使い切るには5年かかる計算になります。
年間枠は毎年1月1日にリセットされますが、使い切らなかった分を翌年に繰り越すことはできません。一方で、非課税保有期間そのものは無期限です。旧NISA(つみたてNISAは20年、一般NISAは5年)からの一番大きな変更点はここで、期限を気にせず長期保有できるようになりました。
もうひとつ、地味に重要なのが「売却すると、その分の生涯投資枠が翌年以降に復活する」という仕組みです。取得したときの金額(簿価)ベースで枠が戻ってくるので、一度使った枠が永久に消えるわけではありません。
結局、何を買えばいいのか
つみたて投資枠で買えるのは、金融庁が定めた基準(長期・積立・分散投資に適していること)をクリアした投資信託・ETFに限られています。裏を返せば、この枠に入っている商品は、少なくとも「初心者がいきなり大きな失敗をしにくい」ようにあらかじめ絞り込まれているということです。全世界株式や米国株式(S&P500など)のインデックスファンドが定番として選ばれることが多いのは、値動きの仕組みが単純で、運用コスト(信託報酬)が低いものが多いためです。
一方の成長投資枠は、個別株・ETF・REIT・投資信託まで対象が広がります。ただし高レバレッジ型や毎月分配型など、長期の資産形成には向かないとされる一部の商品は対象から外れています。
初心者の段階でどちらから手をつけるべきかと聞かれたら、多くの解説記事や金融機関が勧めているのは「まずつみたて投資枠から」という順番です。銘柄を選ぶ手間が少なく、自動積立にしてしまえば値動きを毎日気にする必要もありません。成長投資枠は、投資に慣れてから、あるいは個別株を勉強したいというモチベーションが出てきてから使い始める、という人が多い印象です。
子供の分はどうする?——ジュニアNISA廃止のその後
ジュニアNISAは2023年12月末で新規の口座開設・投資が終了しました。18歳になるまで引き出せないという制限が敬遠され、思ったより普及しなかったことが主な理由です。
すでにジュニアNISAで保有している資産がある場合、慌てて売る必要はありません。子供が18歳になるまでは非課税のまま保有を続けられますし、むしろ制度終了にともなって「18歳まで引き出せない」という制限自体がなくなったため、今はいつでも引き出せるようになっています。ただし18歳になったときに、そのまま新NISA口座へ移管することはできません。売却するか、課税口座に移して保有を続けるかのどちらかを選ぶことになります。
では、今から子供の分を非課税で運用したい場合はどうするか。現行の新NISAは18歳以上しか口座を開けないため、当面の選択肢は「親自身のNISA口座で運用し、将来的に贈与などの形で渡す」か、「子供名義の課税口座で積立を続ける」かのどちらかが現実的です。学資保険や個人向け国債を組み合わせている家庭もあります。
なお、ジュニアNISAに代わる新しい制度(「こども支援NISA」などの名称で報じられています)の創設が政府・与党内で検討されており、2026年度の税制改正で議論が進むとの報道もあります。年間投資枠60万円・生涯600万円、引き出し制限の大幅な緩和といった案が伝えられていますが、これはあくまで検討段階の情報です。決定事項ではないので、確定情報が出るまでは前提にしすぎないほうがいいと思います。
制度は今後も細かく変わっていく可能性があります。この記事の内容は執筆時点のルールに基づく一般的な説明で、個別の商品選びや金額の判断は、ご自身の資金計画や証券会社の最新情報にあわせて確認してください。









