外貨建て終身保険は儲からない?円高で資産が吹き飛ぶ現実

目次

この記事の要約

  • 外貨建て終身保険は円安時は利益が出るが円高で元本割れしやすい
  • 2025年の米ドル高は追い風だが反転した瞬間に資産が溶ける
  • 解約・為替・手数料が複合すると損失幅が想像以上に大きい
  • 無計画加入は危険でNISA・分散・ヘッジなしは特にリスク高い

外貨建て終身保険で資産が消える地雷リスクを知らずに契約してはいけない

老後資産を増やしたくて加入したはずの外貨建て終身保険。そのはずが10年後、払込総額を下回り損切りせざるを得なくなる人がいる。なぜか。結論から言うと為替だ。米ドルが上がれば儲かる。落ちれば消える。資産形成のつもりで契約したのに、円高一発で利益が吹き飛ぶことも珍しくない。しかも日本では円建てより利回りが高く見えるため錯覚を起こしやすい。利益だと思っていた額は外貨表示であり、円換算すれば全く違う数字に変わる。これを理解せず加入した人が、過去に大きな後悔をしている。ではなぜ危険なのか。なぜ損失が起きるのか。具体的に深掘りしていく。

なぜ契約時は良い商品に見えるのか?

利回りが高い。運用が外貨ベースで有利。円安なら差益が乗る。確かに魅力的だ。2025年時点で米ドル建て終身保険の利率は年2〜4%。円建て終身保険の1%以下に比べれば数字は良く見える。だが数字の見せ方が問題だ。外貨表記で返戻金150%と見せられると誰でも得だと思う。その150%はドルベースであり、円換算では80%になる可能性がある。外貨で儲かっていても日本円で減るのが為替リスクだ。特に2025年は円安150円台。このレートで加入し、将来円高に戻れば返戻金は目減りする。金融庁は2024年以降、外貨建て保険の説明不足を課題として指摘していると2025/01の報道で確認できる https://www.fsa.go.jp 2025/1/12 ここに大きな盲点がある。


契約時ドル高で起きやすい誤解
外貨ベースの利回りだけ見て判断
受取時に円換算すると損益が逆転
返戻金が増えても円価値は下がる場合がある

実はその裏に隠れてるヤバい事実

外貨建て保険のリスクは為替だけではない。手数料が積み重なり実質利回りが下がる。解約時にはMVA(市場価格調整)が発動し、予定より受取額が低くなる。つまりドルが下がるか、金利が変わるか、解約が早いか、どれか一つでも噛み合わないと損になる。特に2022年の為替変動ではドルが急落し、保険解約で元本割れした例がX上で報告されている @ryoppippi 2024/06/11受取額は期待より200万低かったという体験談も複数投稿されている。このリスクを理解せず「円安が続くと思ったから」と購入した人の後悔は深い。


損失が出る条件
円高が進む
途中解約を行う
手数料で利回りが薄まる
MVAで返戻金が減る

どうして損する人がこんなに多いのか?

数字だけ見ると魅力的だからだ。広告は「増える」「高利回り」を強調しやすい。だが為替は未来予測が困難。10年後のドル円を当てられる人はいない。過去20年、円は75〜160円まで動いた。150円で契約し100円で解約すれば約3割資産が減る。つまり外貨建て終身保険は資産形成で勝つための再現性が低い。FP相談サービスでも「外貨建て保険を契約した人の多くが仕組みを理解していない」とのコメントが2025/03 @hokennomadoguchi.com で確認できた。これこそが最大の問題だ。

箇条書き
損失が出やすい理由
為替の振れ幅が大きい
長期前提だが途中解約率が高い
複合リスクで損益が読みにくい
利率だけで判断しがち

円高ショックが来たら、いくら消えるのか?

ここからは現実的な数字で考える。1ドル150円で契約し10万ドル受取予定とする。外貨ベースでは10万ドルは変わらない。だが10年後140円なら1400万。120円なら1200万。100円なら1000万。80円なら800万。つまり全く同じ10万ドルでも円換算額は50%まで変動する。元本割れの確率は低くない。2025年は米利下げ観測が強まり円高回帰の可能性が指摘されている invest-concierge.com 2025/02/21 こうした背景を理解せず利回りだけで加入すると後戻りはできない。


ドル円と受取額のシミュレーション
150円→1500万
120円→1200万
100円→1000万
80円→800万

為替リスクを抑えたいならどうすればいい?

危険性を理解したうえで活用するなら方法はある。ヘッジ型なら為替変動は抑えられる。ただしコスト1%前後が利回りを削る。外貨で受け取り日本円に戻さず保有する方法もある。円高になりにくい期間まで保留すればリスクは減る。ただし将来の生活費が円ベースなら結局は円換算する瞬間が来る。NISAと分散することで円高でも外貨資産が下がりにくい組み合わせも可能だ。つまり外貨建て終身保険一本ではなく複数の選択肢を抱えるべきだ。


リスク軽減策
為替ヘッジ型の契約
外貨のまま保有
NISAと分散保有
短期解約を避ける

最後にもう一度言う。考えずに契約するのは危険だ

外貨建て終身保険はハイリスク・ハイリターンだ。円安なら勝てる。円高なら消える。2025年の相場は不安定で金利政策の変化次第で相場は急変する。契約書の文字より為替チャートの方が資産を左右する商品と言ってもいい。安全に見える終身保険なのに実態は投資性が強い。この矛盾に気づかず加入した人が後悔している。だから今この記事を読み終わったあなたは一度立ち止まるべきだ。メリットだけでなく、リスクを理解したとき初めて合理的な判断ができる。

FAQ

Q: 円高が来たら本当に元本割れしますか?
A: 契約がドル高時だった場合、円高で円換算すると元本割れします。外貨ベースで返戻金が増えていても円に戻す時点で価値は変動します。1ドル150円で契約し100円で受け取れば約33%の資産が消えます。リスクを理解せず加入するのは危険です。

Q: 途中解約したらどうなりますか?
A: 多くのケースで損失になります。外貨建て終身保険は長期前提の設計であり、解約控除・MVAで受取額が大きく減る傾向があります。払込期間が短いほど、かつ為替が悪ければ損失幅が拡大します。短期利用には向かない商品です。

Q: 2025年は買うべき?やめるべき?
A: 円安ピークに近い可能性があるため慎重判断が必要です。この状況で加入し円高に戻ればマイナスです。ただしヘッジ型や分散投資と組み合わせる運用ならリスク低減可能です。為替動向次第で結果が大きく変わるため楽観視は危険です。

Q: ヘッジ型なら安全になりますか?
A: 完全にリスクが消えるわけではありません。為替変動は抑えられますがコストで利回りが低下します。利回り重視でヘッジなしを選ぶと円高局面で損失が大きくなるため、どちらを取るかは目的次第です。

Q: NISAとどちらが有利ですか?
A: 外貨建て終身保険は保障と長期資産形成の両方を兼ねますが為替リスクが大きい。NISAは運用リターンが期待できる一方で保障はありません。片側だけを選ぶのではなく併用によるリスク分散が現実的です。判断基準は利回りではなくリスク許容度です。

最終更新日: 2025-12-07
平川 静修
平川 静修|ライター
地図 高齢ドライバー支援 生活インフラ記事全般

住所・地図の実務、PDF/印刷、家計の効率化、広告計測(GA4/GTM/AdSense/Google広告)を“現場で動かし、再現手順に落とす”ことを得意とする編集者。SaaSと自動化を軸に、暮らし×テクノロジーの課題を手順化・テンプレ化して発信しています。

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