富裕層が借金でさらに裕福になる理由 -「良い借金」で資産を増やす仕組みとは?

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借金は「悪」か、それとも「富の加速器」か?

「借金は怖い」「ローンはできるだけ避けるべき」
――多くの日本人がそう教えられて育ってきました。

しかし、現実は真逆です。
お金持ちほど、積極的に借金をしています。

野村総合研究所の2023年データによれば、
日本の富裕層(純金融資産1億円以上)は総資産334兆円に到達。
なんとわずか2年で約30%の増加です。

一方、中間層の多くは住宅ローンやカードローンに追われ、「借金=負担」という意識が抜けません。
でも、富裕層の借金は“負担”ではなく、“武器”。

彼らは**「良い借金」=収益を生む資産を買うための借金**を使いこなしているのです。

ロバート・キヨサキの名著『金持ち父さん貧乏父さん』でもこう語られています。

「貧乏人は借金して浪費し、金持ちは借金して資産を買う」

では、なぜ同じ「借金」でも、富裕層はどんどん裕福になり、一般人は苦しくなるのか?
理由を、4つの視点から掘り下げていきます。


理由①:レバレッジ効果で「小資金が大資産に化ける」

富裕層が借金を使う最大の理由は、**レバレッジ(てこの原理)**です。

たとえば──
あなたが手元に1億円の現金を持っているとします。
それで1億円の物件を買えば、資産は1億円。
しかし、4億円を低金利で借りて、5億円の不動産を買えばどうでしょう。

家賃収入で返済しつつ、物件が毎年3〜5%上昇すれば、
自己資金1億円が5億円規模の資産を動かす力に変わるのです。

Henley & Partnersの報告によると、富裕層の約65%が不動産投資を実践
特に「変動金利0.5%前後」で借りられる日本の環境は、まさにボーナスステージ。

SNSでもこんな投稿が話題になりました。

「借金して不動産買うと、インフレで実質借金が減る。富裕層の鉄板戦略」(@manabu_orixbank)

海外ではさらに進化していて、
「Buy, Borrow, Die(買う・借りる・死ぬ)」戦略が定番。
株を買い、その株を担保に借金して生活し、死ぬまで売らずに税金を回避。
イーロン・マスクやジェフ・ベゾスもこの構造を活用していることが、ProPublicaの調査で明らかになっています。

つまり富裕層は、借金を“返すもの”ではなく“増やすための燃料”として使っているのです。


理由②:税制優遇で「実質コスト」を限りなくゼロに近づける

富裕層が借金を好むもうひとつの理由は、税金対策

たとえば不動産投資では、

  • 借入利息は「経費」として控除可能
  • 減価償却によって課税所得を圧縮
  • 住宅ローン減税で最大年40万円の控除

つまり、「借金をするほど課税所得が減る」仕組みです。

米国ではさらに進んでおり、株を担保に借金(いわゆる「ロンバード融資」)を受けても非課税。
株を売らなければキャピタルゲイン税(20%)も発生しません。

「富裕層は銀行から低金利で借り、運用益で返済。税金ゼロの永久機関」(@snowzettai)

実際、米国の超富裕層は「所得ゼロ申告」で暮らしているケースもあります。
ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットのような投資家は、**“借金で現金を得て、株を売らない”**というトリックで、合法的に税を最小化しています。

借金=コスト、ではなく、借金=節税の装置なのです。


理由③:低金利とインフレが「借金の実質負担」を減らす

2025年現在、日本は依然として超低金利環境
住宅ローンは0.6〜0.8%、事業ローンでも2%前後。
一方で、物価上昇率(インフレ)は2〜3%。

つまり、時間が経つほど借金の「実質的な価値」が減っていくのです。

1000万円を金利1%で借りて、年7%リターンの投資をしたとします。
5年後、元金は変わらず、投資利益は2000万円。
しかも、インフレで借金の実質負担は800万円程度に。

「インフレ時代、借金は資産を増やす味方。富裕層はこれでレバレッジを効かせる」(@ryotsumillion)

以下は典型的な比較表です。

借金タイプ富裕層の用途年リターン税メリット
不動産ローン賃貸物件購入(レバレッジ4:1)5〜8%減価償却・減税
証券担保ローン株運用資金7〜10%利息控除・非課税
事業ローン会社買収・設備投資15%以上経費全額控除
消費ローン車・旅行など-5%なし(悪債務)

ポイントは、「収入を生む借金だけを選ぶ」こと。
富裕層は「悪い借金(消費)」は一切しません。
「良い借金(投資)」だけを選び、インフレを味方につけるのです。


理由④:マインドセットの違い──「借金=機会」という思考法

お金持ちの思考の根底には、**「借金は恐怖ではなくチャンス」**という価値観があります。

多くの人は「借金=返さなきゃいけない義務」と感じます。
でも富裕層にとっては、「借金=他人の力を借りて自分の資産を拡大する手段」。

「レバレッジ思考なしで富裕層にはなれない。借金は“加速装置”」(@sinfuyuusou)

彼らは、借金を背負っても“感情的に負けない”よう訓練しています。
リスクを冷静に分散し、暴落時はむしろ追加投資のチャンスと捉える。

起業家なら、借金を使ってM&A(企業買収)を行い、収益基盤を拡大。
個人投資家なら、証券担保ローンで投資資金を確保し、配当収入で返済する。

一方で、レバレッジをかけすぎると破綻もあります。
2008年のリーマンショックでは、過剰債務が連鎖崩壊を招きました。
だからこそ富裕層は、専門家(IFAや税理士)と二人三脚でリスクを管理しています。

借金は「危険」ではなく、「使い方次第で資産を倍増させるツール」。
このマインドセットこそが、富裕層を富裕層たらしめているのです。


結論:「借金で貧乏になる人」と「借金で豊かになる人」の違い

富裕層が借金でさらに裕福になるのは、次の3つの力を理解しているからです。

  1. レバレッジ効果:小さな資金で大きな資産を動かす
  2. 税制メリット:借金を経費に変える
  3. インフレ活用:時間が借金を軽くする

この3つがそろえば、「借金=悪」ではなく、「借金=味方」になります。


✅ 今日からできる第一歩

  • 住宅ローンも「自己資金温存+投資余力確保」として活用
  • NISAで少額積立を開始
  • 信用取引やレバレッジETFではなく、「長期的な資産借入」に焦点を

💬 まとめ

「借金は返すもの」ではなく、
資産を動かすための他人資本」。

富裕層が裕福になるのは、
彼らが“お金の構造”を理解しているからです。

今日からあなたも、「良い借金」を味方にして、
“レバレッジのある人生”を始めてみませんか?

最終更新日: 2025-11-07

参考文献

  • 📚 参考文献
  • ロバート・キヨサキ『金持ち父さん貧乏父さん』
  • 大和ネクスト銀行「富裕層があえて『借金』をする理由とは」
  • 野村総研「富裕層の資産動向」
  • Bank of America, Henley & Partners, Investopedia 調査
  • X投稿(@SOU_BTC, @snowzettai, @ryotsumillion ほか)
平川 静修
平川 静修|ライター
地図 高齢ドライバー支援 生活インフラ記事全般

住所・地図の実務、PDF/印刷、家計の効率化、広告計測(GA4/GTM/AdSense/Google広告)を“現場で動かし、再現手順に落とす”ことを得意とする編集者。SaaSと自動化を軸に、暮らし×テクノロジーの課題を手順化・テンプレ化して発信しています。

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