人事SaaS「SmartHR」と「freee」の労務管理比較:中小企業が選ぶべきはどっち?

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この記事の要約

  • SmartHRは電子申請・手続き特化、freeeは給与・勤怠を含めた一元管理が強み。
  • 中小企業は「freeeの一元化」が効率的、大規模企業や成長企業は「SmartHRの拡張性が有利」。
  • 料金はSmartHRが小規模向け無料、freeeは従業員数に応じたシンプル定額で分かりやすい。
  • 2025年はAI機能(勤怠予測・退職リスク分析)が双方で進化し、バックオフィス業務が大幅時短。
  • 結論は「自社のフェーズで選ぶべきツールが異なる」。

想像よりずっと大きい差がある。SmartHRとfreee、どちらが本当に“現場に優しい”のか?

バックオフィスの仕事を10年以上見てきた中で、毎年必ず相談されるのが「SmartHRとfreee、どっちが良い?」という質問だ。給与計算、入退社手続き、年末調整…どれも間違えたら会社の信頼に関わるし、紙やExcelで対応していた頃のストレスを知っている人ほどクラウドのありがたみを実感している。

ただ、最近の相談で気づいたのは「機能の違いは分かるけど、自社に合う方が分からない」という悩みが圧倒的に多いこと。2025年は労務管理もAI活用のフェーズに入り、SmartHRは勤怠管理や人的資本データ連携が強化され、freeeは給与計算と経理をつなぐ自動化がさらに洗練された。両者とも成熟したサービスに成長しているが、選ぶべき企業像は明確に異なる。

結論から言えば、人数が少なくて「まずミスなく動かしたい」ならfreee、30〜50人を超えて「戦略人事も見据えて情報基盤を整えたい」ならSmartHRが向いている。この記事ではその理由を、Xの体験談、各社の最新アップデート、公式資料をもとに分かりやすく掘り下げていく。


なぜSmartHRとfreeeは「目的が似ているのに違いが大きい」のか?

SmartHRは「労務手続きと従業員データのハブ化」に軸を置いたサービスで、入社・退社手続き、電子申請、社会保険関連は国内トップクラスの使いやすさだ。シェアNo.1という数字は伊達ではなく、従業員情報を核にして120以上の外部サービスを自動連携できるのが大きい。2025年の最新版では勤怠管理機能が加わり、残業アラートや打刻精度も改善され、企業の“労務領域”を全方位で支えるかたちになった。

freeeは逆で、「給与・勤怠・会計を一つの流れでつなぐ」ことに全振りしている。会計ソフトと同一思想のUIで操作が統一されており、給与計算は標準搭載。勤怠、給与、経理を一気に処理したい小規模企業に向いているため、100人未満の企業で強い支持を集めている。最近リリースされた退職リスク予測サーベイは「中小向けの戦略人事の第一歩」と言われており、ここにfreeeの方向性がよく出ている。

出典:BOXIL 2025年4月版、ITR MARKET VIEW 2025、Xユーザー投稿


労務管理の要となる4機能ではどちらが優れているのか?

労務管理の中核である「給与・勤怠・社会保険・年末調整」について、SmartHRとfreeeには向き不向きがある。現場の声も交えて比較すると、次のような傾向が見える。

給与計算ではfreeeが圧倒的に強い。標準搭載で転記ミスがゼロになる設計は、特に経理と人事を兼務する中小企業に向いている。Xでも「給与明細作成が自動で終わる」「手入力が消えた」という声が多い。一方のSmartHRは2025年6月に給与機能を提供開始したものの、まだ「連携前提の運用」に重きがある。

勤怠管理は両者とも拡張が進んでいるが、freeeのシームレス連携とSmartHRの新機能で拮抗している。打刻、残業アラート、レポートなど基本要素は両者ともカバーしており、差は「給与との同期」「既存勤怠サービスとの連携」のどちらを重視するかによって変わる。

社会保険手続きではSmartHRの独走状態だ。電子申請の一発提出、行政データ連携、書類自動生成は現場負担を激減させる。Xでも「役所に行く回数がゼロになった」という声が目立ち、労務担当の精神的負荷を減らす効果が大きい。

年末調整はfreeeが強みを持つ。従業員アンケート形式、源泉徴収票自動生成など「経理までの流れ」をまとめられるため、ITreviewではfreeeが高評価を獲得している。

出典:SmartHR公式、freee公式、ITreview、BOXIL


料金はどちらが安いのか? 2025年の費用感

SmartHRは従業員30人以下なら無料プランが使えるため、スモールスタートに最適だ。公式資料でも「無料から始めて、必要に応じて拡張」が推奨されている。ただし、給与機能やサポート体制は有料化されるため、実際の運用では50人規模から費用が上がりやすい。

freeeは従業員数による従量課金で非常に分かりやすい。1人あたり2,200円前後で、10人の会社なら22,000円程度で運用できる。勤怠と給与がセットになっているため、総額で考えるとSmartHRより安くなるケースがある。

出典:アスピック2025年8月版、BOXIL比較資料


実際の使いやすさ・現場評価はどうなのか?

SmartHRはとにかくUIが分かりやすい。マニュアルが丁寧で、外国籍社員向けの「やさしい日本語」対応も評価されている。導入直後の定型業務が劇的に減るため、初めて人事SaaSを触る担当者には安心感がある。

freeeは中小企業での「全部入り感」が高評価だ。会計freeeと連携すると、給与計算から仕訳登録まで完全に自動化できる。特に年末調整と勤怠の連動がストレスなく、「紙文化から一気にデジタル化できた」という声が多い。

弱点として、SmartHRは給与単体で見るとコスト増になりやすく、freeeは大規模企業のスケールには向いていない。2025年現在は「100〜500人はSmartHR」「5〜100人はfreee」という住み分けが明確に出ている。

出典:X投稿、ITreview 347件レビュー、公式資料


中小企業はどちらを選ぶべきか? 実際の事例から考える

SmartHRの活用事例では、100〜500人規模の企業で入社手続きが半減し、勤怠データをタレントマネジメントに活かすなど“戦略人事”の基盤を構築しているケースが多い。ピクシブの導入事例でも「従業員データを一元管理し、組織改善に利用」と紹介されている。

freeeはスタートアップや小規模企業で効果を発揮する。特に「経理が強い会社」ほどfreeeを選びやすい。給与計算・勤怠・会計がつながるため、人件費の流れが透明になり、決算対策やコスト最適化に役立つ。

結論として、中小企業では「管理業務をミニマムにしたいならfreee」「人材戦略まで視野に入れるならSmartHR」が相性良い。


FAQ

Q:SmartHRとfreee、どちらが初心者でも使いやすい?
A:操作の分かりやすさはSmartHR。給与・会計まで全部一気通貫したいならfreeeが簡単。

Q:年末調整が早く終わるのはどっち?
A:freee。経理との連携が強く、紙文化を一掃しやすい。

Q:無料で始めるならどっち?
A:従業員30人以下であればSmartHRの無料プランが有利。

Q:人材データの活用はどちらが強い?
A:SmartHR。タレントマネジメントやエンゲージメント分析に対応。

Q:100人未満の中小企業の主流は?
A:freeeが多い。コストと操作性のバランスが良い。

最終更新日: 2025-11-21
平川 静修
平川 静修|ライター
地図 高齢ドライバー支援 生活インフラ記事全般

住所・地図の実務、PDF/印刷、家計の効率化、広告計測(GA4/GTM/AdSense/Google広告)を“現場で動かし、再現手順に落とす”ことを得意とする編集者。SaaSと自動化を軸に、暮らし×テクノロジーの課題を手順化・テンプレ化して発信しています。

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