6歳児向けパストレーニング:スペイン・ドイツ・日本の指導法と実践

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家庭でできる3人組パストレーニング例

少人数でも工夫できる練習メニュー: 6歳児でも3人いれば楽しめるパス練習があります。

例えば 「三角パス&ムーブ」 のドリルでは、3人が三角形の頂点に立ち、パスを出したらボールを出した先の位置に自分も移動しますsakaiku.jp。コーンを相手ディフェンスに見立て、コーンから少し離れた位置でボールを受け、遠い足でコントロールして次の味方に正確にパスを出す練習ですsakaiku.jpsakaiku.jp。パスを出す方向を変えたり、コーチ役の大人がゆるくプレッシャーをかけたりして、自然に周りを見て判断する力も養えますsakaiku.jp。下図はこの三角形パス練習の配置例で、5m四方の三角形を使ったシンプルなメニューです。

家庭でもできる「三角形パス&コントロール」ドリルの一例sakaiku.jp。パスを出したら次のコーンへ移動し、常に三角形のポジションを維持する練習です。

もう一つの遊び感覚の練習は 「2対1のパス鬼ごっこ(ロンド形式)」 です。3人のうち2人がパスを回し、1人が鬼(ディフェンス役)になってボールを奪おうとします。最初は手でボールをパスして鬼ごっこのように遊び、鬼にタッチされない位置へ動いてパスをつなぐ練習から始めますsakaiku.jp。慣れてきたら足でパスを出し、鬼にボールを取られないよう三角形の形を作ってサポートすることを学ばせますsakaiku.jpsakaiku.jp。鬼役は大人が務めて難易度を調整しても良いでしょう。こうした少人数ロンドは低年齢でも**「ボールを保持する意識」「味方との関わり方」**を楽しく学べる導入練習になりますjunior-soccer.college

さらに、ゲート通しパスのゲームも家庭で実施できます。対面に向かい合った2人組で2~3mの間隔をとり、その間に幅1mほどのマーカーゲートを作ります。交互にインサイドキックでボールを転がし合い、ボールをゲートに通せたらポイント獲得とする競争です。ドイツサッカー協会(DFB)の提案する幼児向け練習でも、まずはボールを**「転がしてゲートに通す」遊びから始め、徐々にドリブルからパス、シュートへと発展させていますtraining-service.fussball.detraining-service.fussball.de。このとき「どの蹴り方でも構わない」とし、インサイドキックにこだわり過ぎず子どもが自然に蹴りやすい方法でパスさせるのがポイントですtraining-service.fussball.de。慣れてきたら「何回ゲートを通せるか」**競争にしたり、距離を少し伸ばしたりして遊び要素を加えると盛り上がります。

パスの基礎概念と三角形ポジショニングの教え方

パスコースとサポートの基本: 6歳前後の子どもには、まず**「まっすぐ並んで立つとパスが届かない」ことを体感させ、角度をつけたサポートポジション(=三角形)を理解させます。先述のパス鬼ごっこ練習でも、コーチは「ボールを持っている人の右手と左手に味方がいるよね。もし仲間が鬼の後ろに隠れちゃうとパスをもらえないから、鬼の手や足が届かないところに動いてごらん」と伝えていましたsakaiku.jp。このように鬼ごっこに例えて説明することで、子ども達は「味方同士で三角形を作るとパスが通りやすい」理由を直感的に理解できます。「どうして三角形を作るの?」と聞かれたら、「三角形だとボールを持っている人から行ける道が3つできる**んだよ。道が一つしかないと相手に塞がれちゃうけど、3つあればどれかは通れるよね」といった比喩で伝えると良いでしょう。

実際、三角形の形成はパス回し成功の基本です。サッカー先進国のスペインでは「味方3人で三角形を作っておけばミスが減り、スムーズにパス回しできる」という考えが常識となっていますnote.com。6歳児には難しい戦術用語より、「三角形を作るとみんながパスしやすくなるね」「まるでクイズの鬼ごっこみたいに相手の横に出てくるとボールがもらえるね」といった平易な表現で繰り返し伝えます。練習ではコーンや保護者を**ディフェンス役の“かかし”**に見立て、「かかしの横から顔を出してパスをもらおう」「かかしとボールの一直線上に立たないようにしよう」など具体的に教えます。パス&コントロールのドリル中でも、「ボールが来た方向とは逆の足で止めてごらん。次に蹴りやすい方向へボールが置けるでしょう?」といった指導で、体の向きやファーストタッチの基本も合わせて習得させますsakaiku.jpsakaiku.jp

各国に見るコーチングのアプローチと用語の違い

スペイン: 幼少期から戦術的な指導を取り入れるのが特徴です。スペインの育成現場では、たとえ小学1年生(6歳)でも試合中にコーチがピッチに入り込み、「今はここにポジションを取りなさい」と直接教える光景が見られますsakaiku.jp。実際にスペインでは6~7歳からインサイドキックの正確なパスやトラップを徹底指導しており、それがサッカーの全ての基礎になると考えていますcoachunited.jpcoachunited.jp。例えば試合で上手くいかなかった場面(ゴールキックからのビルドアップ等)をテーマに次の練習で取り上げ、ポジショニングやパス回しの修正練習を行いますsakaiku.jpsakaiku.jp。スペイン語の専門用語では、方向づけたファーストタッチを**「コントロール・オリエンタード」、マークを外す動きを「デスマルケ」と呼び、こうしたテクニックを低年齢から教え込みますcoachunited.jp。つまりスペインでは、小1年代から「普通のサッカー」に近い形**でポジショニングやパスの概念を少しずつ刷り込んでいくのですsakaiku.jp

ドイツ: ドイツではこの年代、個人技術と判断力を伸ばすアプローチが取られます。育成年代で導入されているフニーニョ(Funino)は3対3のミニゲームで、自然に三角形のサポートが生まれ数的有利を作る練習法ですsakaiku.jpsakaiku.jp。ドイツサッカー協会もU9以下でフニーニョ形式の3人制ゲームを推奨し、ミニゴールを各クラブに配備していますsakaiku.jpsakaiku.jp。一方、通常練習では1対1の局面を重視する傾向があります。コーチのクラウス・パブスト氏は「子供たちにはとにかくボールにたくさん触らせたい。そのためパスという選択肢がない1対1練習を多用する」と述べていますcoachunited.jp。まずドリブルで自分で打開する力を養い、徐々に1対2や2対2へ発展させていく指導ですcoachunited.jpcoachunited.jp。低年齢では「インサイドで正確に蹴れ」と細かく矯正することはせず、両足で自由に蹴ってみる中で徐々にコントロール精度を上げますtraining-service.fussball.de。実際DFBは「バンビーニ年代ではパスはまだ重点テーマではない」とし、視野や空間認識が未発達な子に無理に組織立ったパスサッカーを求めない方針ですtraining-service.fussball.de。その代わり、少人数ゲームやペアでの協力プレーを通じて徐々に周囲を見る習慣を育てるよう心がけていますtraining-service.fussball.detraining-service.fussball.de

日本: 日本サッカー協会(JFA)のキッズ指導ではまず**「サッカーは遊び!」が合言葉です。6歳以下では外で思い切り体を動かし、「好き!楽しい!もっとやりたい!」という気持ちを何より大事にしていますjfa.jp。この時期は専門的な戦術よりもボール遊びや全身の運動が中心で、ドリブルやボールフィーリングを通じて「ボールは友達」にすることを重視しますsoccertrainingmenu.comsoccertrainingmenu.com。とはいえ近年JFAも少人数・小スペースのゲーム形式を推奨しており、2011年からジュニア年代を11人制から8人制に変更、さらにU-10以下では3対3や4対4などスモールサイドゲームを導入する指針を打ち出しましたsakaiku.jpsakaiku.jp。幼児や小学校低学年カテゴリでは、地域やレベルに応じて5人制や6人制で試合するケースも増えていますsakaiku.jp。日本の指導現場でも徐々にスペースの作り方サポートの原則**を教える動きがあり、例えば「団子サッカーにならないようにするには?」というテーマで子供にポジショニングを考えさせる指導法も紹介されていますsakaiku.jpsakaiku.jp。用語面では専門用語は控え、「横に開こう」「後ろに下がってパスコース作ろう」など平易な言葉で伝えるコーチが多いようです。また、日本ではスペインのような年間リーグ戦は小学3年生以降が中心で、低学年のうちは月例の交流戦やミニゲーム大会を通じて経験を積ませています。

飽きさせない工夫と遊び要素の取り入れ方

楽しく学べる環境作り: 6歳児は集中力が長く続かないため、練習メニューには常に工夫が必要です。ポイントはゲーム性と物語性を持たせること。例えばパス練習一つとっても、「○回連続でゲートパス成功に挑戦!」「鬼ごっこで鬼に捕まらず◯秒キープできるかな?」といったチャレンジ要素や競争要素を加えると子どもは夢中になりますtraining-service.fussball.detraining-service.fussball.de。ドリルトレーニングでも単調に繰り返すのではなく、時間制限や得点ゲームにすると盛り上がります。「5分間で何点取れる?」と競わせたり、チーム対抗戦にするのも効果的です。

また、こまめなルール変化も飽き防止に有効です。先の3人パス鬼ごっこでは、手投げパス→手で転がし→足でパス…というように段階的にルールを変え、少しずつ難易度を上げましたsakaiku.jpsakaiku.jp。変化があると子ども達は「次は何だろう?」とワクワクし、常に新鮮な気持ちで取り組めます。ドイツでは幼児練習の合言葉として**「LASSENの原則」**が挙げられており、L: 長い待ち時間を作らず、A: 課題はシンプルに、S: 練習はゲームのように遊び感覚で、S: 種目をどんどん切り替えて、E: 成功体験を積ませ、N: サッカーだけでなく様々な動きを取り入れる、という方針が示されています1x1sport.de。日本の現場でもこれは参考になる考え方です。

さらに**「褒めるコーチング」も重要です。できないことを叱るより、できたことをすかさず褒めて伸ばします。sakaiku.jpで紹介されているように、シュートやチャレンジが増える練習では「ナイスシュート!」「今のチャレンジ良いね!」と声をかける機会も増え、子どもたちのモチベーションアップにつながりますsakaiku.jp。幼児年代では指導者は叱る教師ではなく「楽しませ上手な遊び相手」**に近い存在です1x1sport.de1x1sport.de。例えば良いパスが通ったとき「今のパスすごい!助かったよ、ありがとう」と伝えれば、子どもは嬉しくなり次もパスしようという意欲が湧きます1x1sport.de。ドイツの指導者も「コーチが面白いと思える練習は子どもにとっても楽しい。逆につまらないと思う練習は子どもにとっても退屈だ」と語っていますcoachunited.jp。指導者自身が楽しみながら盛り上げることで、子どもも笑顔で練習に取り組み、結果としてパスの上達にもつながるのです。

三角形のポジショニングの重要性を子どもに伝えるには

「三人で協力すると強い」ことを実感させる: 三角形のポジショニングが大事な理由を6歳児に説明する際は、できるだけシンプルで身近な例えを使います。先述の通り鬼ごっこの場面で、「3人がバラバラじゃなくて三角形にいると鬼に捕まりにくかったね」と振り返るだけでも十分効果があります。「なぜ三角形だといいの?」と聞かれたら、「1人だと鬼にすぐ取られちゃうけど、2人が助けに来て三角形になるとパスの逃げ道がたくさんできるからだよ」と教えます。「三角形は魔法のかたち」などと表現すると子どもの印象にも残るでしょう。

実際のサッカーでも、三角形を作ることでパスコースが複数生まれ、相手守備が崩しやすくなることを、徐々に体験を通じて理解させます。sakaiku.jpで野澤コーチが述べたように、「鬼の背中に隠れちゃうと通せんぼされるけど、横に出ればパスが通るよね?」という一言で、子どもは自然と「味方と自分が一直線ではなく角度をとる=三角形」だと学習します。sakaiku.jpでも触れられている通り、3人制ゲームではボール保持者を他の2人が支える形が自然とでき、基本の三角形が作りやすいのです。sakaiku.jpにあるように、スペインの小学生たちで団子サッカーにならないのは、コーチの声かけでポジションを教わり、早い段階から**「正しい位置にいるとパスが繋がる!」**成功体験を積んでいるからでしょう。

6歳児への指導では、専門的に理屈を説くよりも「今の三角形パス上手くいったね!」「○○くんがいい場所にいたからだよ」と結果と理由をセットで伝えるよう意識します。絵本のようにボードに三角形の線を描いて見せ、「この線の通り道は安全だね。まっすぐはだめだね」と視覚的に教えるのも有効です。家庭で指導する場合、ミニカーやフィギュアを使って三角形の動きを再現し、「車(ボール)が安全に通れる道路を作ってあげよう」と遊びに落とし込む方法もあります。大事なのは子ども自身が**「三角形だと上手くいった!」**という喜びを感じることで、それが理解につながります。一度でもそれを経験すれば、次からは自然と仲間と三角形の隊形を取ろうとするでしょう。その積み重ねが将来のチームプレーの土台となっていくのです。sakaiku.jpsakaiku.jp

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