つみたてNISAで含み損が出たら?売るべきかの判断基準をシンプルに

目次

この記事の要約

  • つみたてNISAの含み損は「売らない」が基本。長期投資では一時的な下落は自然な揺らぎ。
  • 売却を検討するのは「資金が本当に必要」「銘柄に自信が持てない」など明確な理由があるときだけ。
  • 判断基準は「長期保有の意思」「生活資金の余裕」「銘柄への信頼」の3つでシンプルに決める。
  • インデックスファンドの長期データでは15年以上保有でマイナスの確率はほぼゼロ。
  • 含み損は“失敗”ではなく、積立のチャンス。焦って売るほど損失が大きくなる。

含み損が出た瞬間、なぜ人は迷うのか?最初に知るべき結論とは

つみたてNISAで含み損が出たとき、どうすればいいのか。
これは投資歴に関係なく、多くの人がぶつかる質問です。

私自身、最初の暴落ではアプリを開く手が震えました。チャートが真っ赤になると、「このまま続けていいのか」「売ったほうが安全じゃないか」と不安になるのは自然な反応です。

でも、長く取材してきた投資の専門家や運用データを照らし合わせると、ある結論が見えてきます。

含み損が出たとき、慌てて売るべきではありません。
むしろ「売らない」が合理的である場面が圧倒的に多い。

もちろん、すべてのケースで“持ち続けるべき”というわけではありません。ここを誤解すると損します。
重要なのは、「売るべきか」の判断基準を冷静に持つこと。

この記事では、その判断を最短で下せるように、データ・実例・心理面の3方向からシンプルにまとめます。

読み進めれば、含み損に対する不安が整理され、明日からの投資方針がぶれなくなるはずです。


つみたてNISAで含み損が出たのはどれくらい深刻か?

まず前提として、含み損は“損失が確定したわけではない”という事実があります。
つみたてNISAは毎年最大40万円(新NISAは投資枠がさらに拡大)を「非課税」で運用できる制度で、長期・分散・積立という王道の投資理論が前提です。

含み損とは「現時点で売るとマイナスになるだけ」の状態です。
売らなければ損益は確定しません。

特に近年のような相場変動が大きい局面では、積立中の多くの人が一時的に含み損を抱えました。実際、2024〜2025年の下落局面ではSNSでも「つみたてNISAが真っ赤」と話題になりました。

しかし、この“短期の落ち込み”だけを理由に売るのは危険です。

S&P500などの主要指数は、15年以上保有することでマイナスになる確率がほぼゼロになるというデータがあります(出典:@fptn5)。
投資の教科書に載るような事実ですが、実際に数字を見ると心理的安心感が桁違いになります。

むしろ、下落は“安く買えるチャンス”にもなります。
平均取得単価を下げられるので、後の回復時に利益が大きくなるのです。


売るべきかどうかを決める3つの判断基準

含み損で悩む人のために、複雑な指標ではなく、誰でも今日から使える3つの判断基準にまとめました。
この3つだけで、ほとんどのケースは整理できます。


長期保有するつもりか?

結論:長期保有の意思があるなら、基本は売らない。

つみたてNISAの本質は「長期+非課税」。
短期売買をすると、NISAの最大の利点を自ら潰すことになります。

非課税で利益を積み上げられる期間が失われ、損益通算(他の利益との相殺)もできません。
投資開始から5年未満の場合は特に、ほぼホールド一択と考えて問題ありません。

SNSでも、2022年の下落で含み損を抱えた人が2025年には+67%の含み益になった例が多数報告されています(出典:@s_a_i_sai)。
悲観が続くように見えても、長期では回復するケースが多いのです。


今すぐお金が必要か?

結論:生活費や緊急資金が必要なら売却もあり。

つみたてNISAは「余裕資金」で行うのが原則です。
もし手元の現金が不足していて日常生活に影響が出るなら、含み損でも売るべきです。

目安は6ヶ月分の生活防衛資金。
これが確保できていないなら、売却して現金を確保する選択は合理的です(出典:kabu.com)。

売却した後、余裕が生まれたら課税口座で再投資するのも方法のひとつです。
しかし注意点として、NISA枠は売却しても復活しません。
翌年まで待つ余裕があるかどうかも含めて検討する必要があります。


銘柄への自信はあるか? 回復を信じられるか?

結論:信じられないなら、売って別ファンドに乗り換える。

インデックスファンド(オルカン、S&P500など)は分散効果が高く、回復期待が大きい商品です。
含み損20〜30%程度でも、市場全体の調整ならホールドが基本。

一方、集中投資や個別株で“もう無理だ”と感じるなら売却も検討対象になります。

例えば、企業の業績悪化など市場全体とは関係ない要因で落ちている場合は、回復が不確実です。

また、NISAでは「枠圧縮」というテクニックもあります。
含み損の商品を売却し、同じ指数に連動した別ファンドを買うことで、実質的に安値で買い直しできる手法です(出典:note.com)。

例:
eMAXIS Slim S&P500 → 楽天・S&P500 へ乗り換え
(指数は同じだが、価格が下がっている時なら実質買い増しに近い効果)


含み損を抱えたときに“やってはいけないこと”

つみたてNISAでは、感情が最大の敵になります。
特に次の3つは避けましょう。

・暴落時にアプリを何度も開いて不安を増幅させる
・SNSのネガティブ投稿に引きずられて狼狽売りする
・積立停止ボタンを勢いで押してしまう

投資のプロも言うように「暴落で売る人が損をする」(出典:@yamato_x_money)。
感情に反応した行動ほど、後で大きな後悔につながります。

アプリの通知を切る、積立設定を自動にしておくなど、感情に左右されない仕組みを作ることが大切です。


含み損でも売らずに乗り切るための具体的なコツ

含み損が出ても、冷静に続けるための実践方法をまとめます。

積立を止めない

下落時こそ、平均取得単価を下げられるチャンス。
長期投資の世界では「暴落はご褒美」とも言われます(出典:info.monex.co.jp)。

分散を強化する

1銘柄に偏ると不安も大きくなります。
全世界株(オルカン)・米国株(S&P500)など、広く分散されたファンドが安心感の源になります(出典:@Maki_workwell)。

売却ルールを決めておく

“いつ売るか”を事前に決めておくと、判断の迷いが減ります。
例えば、ライフイベント(結婚・子育て)や資産目標達成時などに一部だけ売却するなど、合理的なタイミングを決めましょう(出典:diamond.jp)。


まとめ:含み損は一時的な景色。長期投資の視点で判断を

つみたてNISAで含み損が出ると不安になりますが、これは投資家全員が通る道です。
重要なのは「焦って売らないこと」。
そして、売るべきかどうかは次の3つでシンプルに判断できます。

・長期保有の意思があるか
・生活資金に余裕があるか
・銘柄への信頼が持てるか

ほとんどのケースで、“含み損は一時的”という結論になります。

むしろ、積立を続けることで後から大きな利益につながる可能性が高い。
つみたてNISAはマラソンのようなもの。焦らず、淡々と積み上げれば道は見えてきます。

あなたの含み損も、来年には景色が変わっているかもしれません。
心配しすぎず、賢く、落ち着いて続けていきましょう。


FAQ

Q:含み損が20%超えたら売るべき?
A:市場全体の下落ならホールドで問題なし。個別株で自信がない場合のみ検討。

Q:積立を一時停止したほうがいい?
A:基本は停止しないほうが合理的。安値で買えるため、後の回復でプラスに働く。

Q:売却後にまた買い直してもいい?
A:可能。ただしNISA枠は戻らないため、枠圧縮目的の乗り換えは慎重に。

Q:含み損が増え続けて不安。どう向き合う?
A:アプリの通知を切る、SNSのネガティブ情報から距離を置くのが効果的。

Q:個別株が含み損のときはどうすればいい?
A:その企業独自の悪材料なら売却検討。インデックスなら基本は継続。

最終更新日: 2025-11-22
平川 静修
平川 静修|ライター
地図 高齢ドライバー支援 生活インフラ記事全般

住所・地図の実務、PDF/印刷、家計の効率化、広告計測(GA4/GTM/AdSense/Google広告)を“現場で動かし、再現手順に落とす”ことを得意とする編集者。SaaSと自動化を軸に、暮らし×テクノロジーの課題を手順化・テンプレ化して発信しています。

目次