銀行貯金は「安心」か、それとも「損」か?

「お金は銀行に預けておけば安心」
そう信じてきた人は多いでしょう。かつては私もそうでした。給料が入ったらすぐに定期預金へ、ボーナスは別口座へ。利息は少なくても「減らない」という安心感があったからです。
でも――2025年の今、その「安心」は幻想に近い。
なぜなら、**銀行に預けたお金は実質的に毎年“目減りしている”**から。
メガバンクの普通預金金利は、たったの年0.001%。100万円を預けても、1年で10円しか増えません。一方で、物価上昇率(インフレ)は年2〜3%。つまり、100万円の価値は1年後に97〜98万円分しかモノを買えないのです。
それでも多くの人が「貯金は安心」と信じてしまうのはなぜでしょうか。
その一方で、富裕層たちは静かに銀行口座から資産を逃がしています。
理由①:低金利とインフレで「実質損失」が積み重なる
お金持ちが銀行に貯金しない一番の理由は、**「増えないどころか減る」**から。
たとえば──
| 預け先 | 金利(年) | 10年後の100万円 |
|---|---|---|
| 銀行預金(0.001%) | ほぼゼロ | 約100万100円 |
| インフレ率2% | -2.0% | 実質約81万円分の価値 |
| S&P500(過去10年平均) | +8% | 約215万円 |
10年間で、同じ100万円が「倍」になる人と「目減り」する人。
差は、どこにお金を置いたかだけです。
SNSでもよく見かけますよね。
「貯金はクソ喰らえ。お金は労働力、働かせろ!」(@kohsuke33inv)
これは決して過激な発言ではなく、投資マインドの本質を突いています。
富裕層は“お金を寝かせない”。銀行は「避難所」ではなく「一時待機場所」として使うだけです。
理由②:銀行は「味方」ではなく「ビジネスパートナー」

「銀行に預ければ安全」
──そう思っている人に伝えたい事実があります。
銀行は、あなたの預金で儲けています。
銀行が企業や個人に貸し出す金利はおよそ2〜5%。
一方、あなたへの預金金利は0.001%。
つまり、あなたのお金を“転貸”して、その差額で利益を出しているんです。
皮肉にも、お金を銀行に預けるほど、銀行は儲かる。
でも、あなた自身の資産は増えない。
だから富裕層は、銀行を「頼る対象」ではなく「使う対象」として見ています。
彼らは銀行に相談して商品を買うのではなく、銀行をツールとして利用する。
送金や決済のために最小限だけ残し、資産のほとんどは別の形で運用します。
理由③:税金と手数料で「目に見えないコスト」が積み上がる
たとえば、定期預金の利息には20.315%の源泉徴収税がかかります。
1万円の利息がついても、実際に手に入るのは約8,000円。
しかもその1万円の利息を得るためには、1,000万円単位で預けておく必要がある。
それなのにATMの引き出しや振込では手数料がかかる──
もうこれ、完全に「マイナス利回り」です。
一方、富裕層はNISAやiDeCoなど非課税制度をフル活用します。
年数百万円を株やETFに投じ、配当・値上がり益を“非課税”で受け取る。
同じ金額を動かしていても、銀行預金とは雲泥の差が生まれるのです。
そしてもう一つ、彼らが意識しているのが「レバレッジ」。
富裕層はお金を「消費」ではなく「担保」に使います。
たとえば、不動産や株式を担保にローンを組み、
現金を動かさずに資産を増やしていく。
まさに“お金がお金を生む”構造です。
理由④:資産を「働かせる」マインドセット

お金持ちに共通しているのは、「お金に働いてもらう」という考え方。
銀行に預けたお金は“寝ている”。
彼らはそれを「起こす」方法を知っています。
富裕層のポートフォリオ例(平均)
| 資産クラス | 保有割合 | 10年リターン例(100万円投資) |
|---|---|---|
| 銀行預金 | 10% | 約101万円 |
| 株式・ETF | 55% | 約300〜900万円 |
| 不動産 | 20% | 約200〜400万円 |
| 債券・金 | 15% | 約150〜220万円 |
(出典:Bank of America調査、東洋経済オンライン再構成)
ピケティの『21世紀の資本』で有名な式、r > g(資本収益率 > 経済成長率)。
これは、働いて得る収入(g)よりも、投資で得る収益(r)の方が高くなるという法則です。
つまり、投資しなければ、永遠に資本家には追いつけない。
理由⑤:「リスクを取らないこと」が最大のリスク
「投資は怖い」「損をしたらどうしよう」
そう考える人は多いですが、富裕層はリスクを「怖いもの」とは捉えません。
むしろ、「リスクをどう分散するか」を考えます。
- 株式50%、債券25%、現金10%、代替投資(金や美術品)15%
- 預金は1000万円まで(預金保険制度の上限)
- 海外資産で通貨分散(円安対策)
こうして、どんな不況でも資産が一方向に偏らないよう設計している。
だから、暴落しても慌てない。むしろ「買い時」と考えて買い増します。
「入金力こそ最強の投資スキル」と言われるように、
富裕層は定期的な入金を最優先に考えています。
収入が上がっても生活レベルを上げすぎず、
余剰をすべて投資に回す。
10年後、20年後に効いてくる「複利の魔法」を信じているのです。
理由⑥:本当の「安心」とは、現金ではなく仕組みにある
銀行口座の残高が多いほど安心だと感じる人も多いでしょう。
でも、お金持ちは数字ではなく“仕組み”で安心を作る。
・安定収入を生む配当株
・家賃が入る不動産
・定期的に積み立てる投資信託
・万一の時のための生命保険や債券
これらを「システム化」してしまえば、
自分が働かなくてもお金が回る仕組みができる。
その瞬間、銀行口座の残高に一喜一憂する必要はなくなります。
結論:「貯金しない」のではなく、「お金を眠らせない」
お金持ちは「銀行に貯金しない」のではなく、
「銀行に寝かせない」のです。
彼らにとって銀行とは、
- 給与や配当を受け取る場所
- 投資の待機資金を置く場所
- 緊急時の流動性確保のための場所
──それ以上でも、それ以下でもありません。
お金を「持っておく」ことよりも、
「どう動かすか」「どう増やすか」に頭を使う。
だからこそ、時間が経つほどに資産の差が広がっていくのです。
今日からできる「お金持ちマインド」3ステップ
- まずはNISA口座を開く。
→ 月1万円でもいい。10年後には複利が味方してくれる。 - 生活防衛費を除いて「余剰資金」を投資へ。
→ 銀行は3〜6ヶ月分の生活費だけ。 - “お金を寝かせない”習慣をつくる。
→ 定期的に資産を見直し、働かせる構造を意識。
まとめ:銀行は「守る」場所ではなく「通過点」
銀行は悪ではありません。
でも、あなたのお金を「守る」ことには限界があります。
富裕層がそれを理解しているからこそ、
銀行にお金を“置かない”という選択をしているのです。
「貯金は安心ではなく、惰性の象徴」
「お金は使うより、動かすもの」
今日からあなたも、“お金を働かせる側”に回ってみませんか?
💬 参考文献・引用
- 勝間和代『お金は銀行に預けるな』
- 東洋経済オンライン「銀行にお金を預けるのが損だとわかる理由」
- Yahoo Finance「How Much Money Millionaires Put in Their Checking Accounts vs. Savings」
- Bank of America / Henley & Partners / Quora 各調査データ
- X(旧Twitter)投稿:@hiroyuki_miyake, @sugawara11, @r_nuts ほか





