製造業こそ、最も早くロボット化が進んだ分野です。
特に中国では、政府主導の「ロボット革命」が進行中で、すでに多くの工場が人間の手を離れています。
2017年、中国のある電子部品工場は、従業員の90%をロボットに置き換えました。
その結果、生産性は250%向上し、不良率は25%からわずか5%に低下。かつて数百人の作業員が手作業で行っていた組み立て工程は、今ではロボットアームが24時間稼働し、人間は監視とメンテナンスに専念しています。
さらに2025年には、浙江省の工場で「Agibot」と呼ばれる人型ロボット50体が稼働。
衣類の折り畳み作業を完全自動化し、人間の動作データ1万件以上を分析して精度を高めました。
SNS上では、「マシニングセンター220台をわずか3人で運用」という驚異的な事例も拡散され、まさに“無人工場”の象徴となっています。
ただし、その裏では深刻な課題も。
現場からは「単純作業が消え、残った人間はロボットの修理とデータ管理に追われる」との声も多く、人件費削減の代償として失業が増加。社会問題化しつつあります。
事例2:小売・サービス業 ― 無人店舗とAI接客の時代
かつて「人の温かみ」が求められた小売やサービス業でも、無人化は急速に進んでいます。
セブン-イレブンのロボット導入
2025年、セブン-イレブン・ジャパンは試験的にロボットを導入。
飲料の補充や床清掃を自動化し、従業員の作業負担を30%削減しました。
さらに、レジ横に設置されたモニターを通じて遠隔接客が可能となり、外国人観光客への多言語対応も実現しています。
Amazon倉庫 ― 75万体のロボットが人を凌駕
一方、米Amazonでは75万体以上のロボットが倉庫で稼働しており、2022~2024年の間に22,000人分の人間の作業を置き換えたといわれます。
ピッキングや梱包など、かつて人間が主役だった作業は完全に自動化されました。
SNSでは「ロボットが人間の2倍速で動く姿に恐怖を感じる」といった声もあり、効率の裏で“働く人の不安”が増しているのも事実です。
スターバックス中国 ― ロボットバリスタの登場
さらに中国では、スターバックスが100体のロボットを導入し、注文やドリンク提供を自動化。
「人間がコーヒーを運ぶ時代は終わった」との投稿が話題を呼びました。
こうした流れの中で消えた職業は、レジ係・補充スタッフ・在庫管理員。
代わりに生まれたのは「ロボットメンテナンス」や「AIシステム管理」の仕事ですが、スキルの壁が高く、“新しい失業”を生み出しているとも言われています。