離婚や別居を考え始めると、感情的な負担と同じくらい気になるのが「結局いくらかかるのか」という現実的な部分ではないでしょうか。ただ、この手の情報は「ケースバイケースです」という説明で終わっていることが多く、具体的な相場がなかなか掴みにくいのも事実です。今回は手続きの種類ごとに、実際どのくらいの費用感になるのかを整理してみました。
協議離婚・調停離婚・裁判離婚、それぞれの費用
協議離婚(夫婦の話し合いだけで成立させる方法) は、家庭裁判所を通さないため、基本的に手続き自体の費用はかかりません。ただし、養育費や財産分与の取り決めを公正証書にしておく場合は、公証役場に手数料を支払うことになります。手数料は取り決める金額によって変わる仕組みです。
調停離婚 を自分だけで進める場合、収入印紙代1,200円、郵便切手代1,000円程度、戸籍謄本の取得費用450円ほどで、実費はトータル数千円に収まります。一方、弁護士に依頼すると、着手金・報酬金を合わせて数十万円〜150万円程度が目安になるようです。金額の幅が大きいのは、財産分与や親権で争いがあるかどうかで作業量が大きく変わるためです。
裁判離婚 まで進んだ場合、収入印紙代は基本13,000円からで、請求する内容や金額に応じて加算されていきます。郵便切手代と合わせて、裁判所に払う実費は2万〜3万円程度が目安です。弁護士費用は調停よりさらにかかることが多く、財産分与を依頼する場合は、獲得できた財産のおおむね20〜50%が弁護士費用の目安になるケースもあります。
別居中の生活費(婚姻費用)は請求できる
離婚が成立する前でも、夫婦には民法752条にもとづく扶助義務があるため、収入の少ないほうは多いほうに対して生活費——法律上は「婚姻費用」と呼ばれるもの——を請求できます。家賃や食費、子どもの教育費、医療費まで、同居していたときと同水準の生活を維持するための費用が対象です。
ここで意外と見落とされがちなのが、婚姻費用の支払いは別居を始めた日からではなく、相手に請求した時点から発生するという点です。「そのうち話し合えばいいか」と先延ばしにすると、その間の生活費は原則もらえません。別居に踏み切ったら、早めに請求の意思を伝えておいたほうがいいと思います。
引っ越し費用は、実は請求できないことが多い
離婚や別居のために新しい住まいへ引っ越す場合、その費用は婚姻費用にも財産分与にも該当しない、というのが基本的な整理です。相手が任意で応じてくれれば別ですが、調停や裁判で「引っ越し代を払え」という請求が通ることは難しいとされています。当面の引っ越し費用は自分で用意しておく前提で考えておいたほうが、後で慌てずに済みそうです。
2026年4月から、離婚後の親権の選択肢が増えた
2026年4月1日に施行された改正民法により、離婚後の親権は「単独親権」に加えて「共同親権」も選べるようになりました。すべての夫婦が自動的に共同親権になるわけではなく、話し合いか家庭裁判所の判断で、単独親権にするか共同親権にするかを選ぶ形です。直接的な「費用」の話ではありませんが、養育費や面会交流の取り決め方にも関わってくるので、これから離婚を考える人は頭に入れておいたほうがいい変更点だと思います。
費用が心配なときは
弁護士費用がネックで相談をためらっている場合、多くの法律事務所が初回無料相談を用意しています。また、収入が一定基準以下であれば、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助を使うことで、弁護士費用を分割・立て替えてもらえる制度もあります。まずは無料相談の範囲で、自分のケースだとどのくらいの費用感になりそうか、聞いてみるところから始めてみてください。








