スーパーの棚からアサヒスーパードライが消え、ケンタッキー・フライド・チキンが臨時休業に追い込まれる。2025年から2026年にかけて、日本の「食」を支える大企業が次々とサイバー攻撃に襲われている。
でも、ニュースを見ていて素朴な疑問が浮かばなかっただろうか。
「身代金を要求されたわけでもないのに、なんでこんなことするの?」
「そもそも、外の人間がどうやって会社のシステムに入り込むの?」
「これだけ大騒ぎになってるのに、なんで次から次へと防げないの?」
テレビのニュースは「システム障害が発生しました」「復旧を急いでいます」で終わってしまう。でも実際に何が起きていたのか、公表資料や専門家の分析を掘っていくと、かなり不気味な実態が見えてくる。
そもそも何が起きたのか、超ざっくりおさらい
アサヒグループHD(2025年9月29日)
ビール・飲料・食品を手がけるアサヒグループの受注・出荷システムが全面停止。工場は動いていたのに出荷ができず、現場は電話・FAX・手作業に逆戻り。約400億円弱の営業減益要因となり、完全復旧まで半年以上を要した。約19万人分の個人情報漏えいの可能性が判明している。
ニチレイ(2026年7月13日)
冷凍食品最大手グループが不正アクセスを受け、冷蔵倉庫の入出庫と冷凍食品の出荷が停止。ニチレイロジグループは他社の冷蔵物流も年間5000社分請け負っているため、影響が一気に他社に波及した。日本KFCは食材配送が滞り、品切れ・メニュー制限・営業時間短縮・臨時休業の可能性まで公表する事態に。
一見バラバラの事件だけど、構造はびっくりするほど似ている。ひとつずつ紐解いていこう。
Q1. 身代金要求もないのに、なんでこんなことするの?
これが一番の謎だと思う。
アサヒの勝木敦志社長は2025年11月の記者会見で、犯人側から一切接触がなく、身代金要求も支払いもしていないと明言した。攻撃者の目的についても「まったくわからない」と述べている。
一方で犯行声明を出したのは、ロシア語圏を拠点とするランサムウェア集団「Qilin(キリン)」。ダークウェブ上で攻撃を主張したのに、肝心の「金を払え」という交渉すら起きなかった。
これを理解するカギは、ランサムウェアが今や分業制のビジネスになっているという点だ。







